いじめられ禁止法案希望

消費税の増税を前にして、消費税還元セール禁止の法案がどうのこうのしてますが。
いわゆるフリーランスの人にはそんなの無関係に、一方的な収入の減少になることが多いような気がします。


なぜなら、フリーの世界では、一部の有名で実力のある上位者を除いては、ほとんどが発注者側の言い値か、良くても伝統的な「相場」に基づく料金しかもらえない場合が多いからです。
もちろん業界によると思うし、蒲田屋の狭い見聞の範囲で言っていることなので、我ながら信憑性は高くないと思いますが、まあ、少なくとも蒲田屋が体感できる範囲ではそうなんです。


なにしろ今だって、消費税分なんて完全にサービスです。
本来は、単価の合計から出した料金に税額乗っけなきゃいけないのに、素の金額で支払われます。
ちなみに、蒲田屋がいる業界では、事前の契約という習慣がない(むしろ避ける)ので、入金されるまで単価も合計金額もわからないことがよくあります。


この仕事を始めたばかりで右も左もわからなかった頃、受注した案件の料金をついうっかり聞いてしまったことがありますが、先方の答えは「わかりません」でした。
この時点で驚きですが、さらにその後に、「さすがにこの知名度の会社なので踏み倒すことはないし、相場より安いことはないと思います」と言われ、呆然とした記憶があります。
今になって思えば、確かに相場よりはいい料金だったのですが、案件毎にそんなバクチを打たないといけないなんて、つくづく恐ろしい業界だと思ったものです*1
(まあ、業界そのものがバクチで成立してるような業界だったりするので、ある意味自然なことかもしれませんが)


ともあれ、報酬は発注者側が一方的に決めた金額で支払われるので、消費税を乗せて請求するなど不可能です。
そもそも請求書を出すケースも多くありません。契約書なんて当然ありません。メールが現実的に一番あり得るシチュエーションですが、それも滅多にありません。
ちなみに、請求書を出すときも事前に金額のネゴをしていないので、金額欄は白紙です。恐ろしいですね。


ある記事で、「商習慣の名の下に行われていた不透明感満載の取引」という表現をした人がいましたが、まさにこれで回ってきた業界なんだな、と実感する今日この頃です。いつまでいるんだろうか、こんなとこに。


こういうことを言うと、「ていうかお前、免税事業者だろ」という人がいたりします。
そりゃそうですが、事業の経費には全部消費税がかかっています。
仕入がないからといって、負担していないわけではありません。


ほな、うっかり売上増加して課税事業者になったときどうすんねん。今さらくれって言えへんやろー。ていうか、言ってもくれへんやろー。ほんなら、エブリデイ 5% オフ!やでー。恐ろしいことや。


消費税についての制度的なことに興味がある人は別途調べてください。預かり税ってやつです。「払う」と「もらう」の連鎖で成り立ってます。


こんな状況で増税して、消費税 10% になった日には、フリーランスのほとんどはエブリデイ 10% オフの生活を余儀なくされます。
まあ、もうちょっとまともな契約行為のある業界もあるとは思いますが、免税事業者の消費税請求の話題はよく耳にするので、小さくない問題だと思います。
収入が 10% オフなのに、支出は(プライベートも含めて)10% アップとか、踏んだり蹴ったりとはまさにこのこと。
個人的には、とても景気が良くなるとは思えませんよ。
まあ、自分とその近辺の立場の意見でしかないけど。


もちろん、それを防ぐために冒頭で触れた法案が作られたわけで、まあ、やりたいことはわかるけれども、実際に効果的かどうかが怪しいのと、「セール禁止」みたいな斜め上に論点が移ってしまうあたりが、どうにも的外れ。
いじめられる下請けは中小企業ばかりじゃないぜー。
ついでに言うと、意図したものだけがいじめじゃないぜー。


本当はもう少し別のテーマの話をしようと思ってたのに、変な方向に話題が転がって長くなってしまったので、今日はここまで。
つづくー。

*1:ちなみに、その後、相場より良い料金の仕事に巡り会えたことはない。