世界は矛盾に満ちている

Nintendo DS逆転検事2」が終わったので、久々にゲームの話題を真面目に書いてみる。


とはいえ、推理もののアドベンチャーゲームという性質上、何を言ってもネタバレ気味になるのが難しいところ。
だから、個人として「面白かったかどうか」ぐらいしか言えないので、たぶん大して参考にならない。
それを承知で、当たり障りのない範囲で少し。
発売後約 1か月という最近のゲームをタイムリーにクリアするなど、蒲田屋には珍しいことでもあるし。


というわけで、とりあえず主観的な感想を言えば、「悪くはなかった」。
うわ、ビミョー。


他の人の感想はあまり見ていないが、「逆転裁判」を含めた過去シリーズのファンでも、評価は分かれるような気がする。
スピンオフ作品ということもあり、作っている人が違うので、元シリーズの「逆転裁判」とは少し毛色が異なる。
だから、逆転裁判のファンが必ずしも納得するかどうかはわからない。
いきなり「逆転検事2」から始める人は少ないと思うが、ビギナーはまず前作「逆転検事」をやってみて、それが肌に合うと思ったら 2 に進むのが正しい順番だろう。


今作の特徴を一言で言うなら、「最初から最終話」。
逆転裁判シリーズでは、初めの方の話はそれほど複雑ではなく、推理がポンポンとハマっていくスピード感と爽快感を味わえた。
そして、話数が進むにつれてややこしい事件になっていき、今度は悩んだり、そう来たか! という意外性を楽しむのが大体のパターンだった。


それに対して、今作は第1話からなかなか難しい事件になっていて、初心者にはたぶん手強い。
そういう意味でも、ビギナーが初めてやるにはやや不向きかと思う。
シリーズ経験者にとっては、好みが分かれるところで、全体のボリュームがアップしていて嬉しいと感じるか、爽快感が薄れていて初っ端からだるいと感じるかは人それぞれ。
ちなみに蒲田屋は後者寄り。


これは読後感というか、各話クリア後の納得感にも影響があって、複雑な事件であればあるほど、捜査過程で前提と結論が大きく揺れ動くので、終わってみても無事に解決したはずなのに結局どういう成り行きだったのか釈然としない事が多々ある。
過去シリーズでもあった問題点(かつ魅力)であるが、第1話からそういう傾向なので、スッキリ感に欠けるきらいが評価の分かれるところではないだろうか。
同様に、複雑度が高い話は強引さも上がってしまうのはやむを得ないところではあるが、「(ロジック的に*1)さすがにそれはちょっと苦しくないか」という印象を受ける部分が増えているのも残念。


その反面、手がかりと事実のつながり、伏線とその回収、逆転に次ぐ逆転、意表を突く展開という要素は過去シリーズに比べて増えているので、より手応えがある・盛り上がるという評価もできる。
中でも、明示的に解決されない伏線や暗黙の関連性などの、表面的に見えない部分まで作り込まれている点は、見事だと言える。
このあたりは、当然ながら好みの問題なので、一概にどちらとは言えないが、逆転シリーズ(特に逆転裁判1〜3)が好きとか、逆転検事が面白かったという人なら、手を出しても激しく後悔するようなことにはならないと思う(始めたら続きが気になって眠れないとか、そういう後悔はあるかもしれない)。
とりあえず蒲田屋も、ゲームとしての感想は微妙な評価をしたが、個人的にはやって良かったと思っている。


システム面で新しく導入されたロジックチェスは、正直に言って、特に目新しい点もないし面白くもない。事実上、演出のある通常会話である。
事前情報を見たときは、(逆転裁判の)サイコ・ロックの代替かと思ったが、そんなに論理的なパートではなかった。
特に理詰めでどうこうとか駆け引きがあるとかそういうものではなく、時間制限があるのと、間違うとペナルティがあるだけで、本質的には昔のコマンド選択式アドベンチャーゲームと同じ。
逆に言えば、ポイントがわかれば難しいものではないので、時間制限のある新システムだからといって恐れる必要はない。


逆転裁判4」の「みぬく」同様、新システム導入に試行錯誤している様子が窺えるが、どちらも謎解きに重要な論理性とは違う部分に着目してしまっている点が違和感の原因ではないかと思う。
観察力や心理戦的な要素を取り入れたいのだろうという方向性はわかるが、三段論法的に「正解」が導ける論理的推理とは違い、「正解」の設定が感覚的になりやすいために、ノーヒントなら難しすぎて、ヒントがあると簡単すぎるというどちらかになってしまう悩ましいテーマだろう。


とりあえずネタバレを避けて書けるのはこれぐらい。
推理もののアドベンチャーゲームなので、興味を持ってもなるべく周辺情報は集めないでやった方が当然ながら面白い。
逆転シリーズには珍しく、今回は公式サイトが派手にネタバレしているので、公式も見ないことをおすすめ。

*1:ゲームには誇張と省略が不可欠なので、ある程度のご都合主義は当然に許容される。さらに「逆転」シリーズの伝統として、ややぶっ飛んだ設定はお約束なので、それも除外する。その上で、行動や考え方に無理があったり、説明がついていなかったりする部分がある、ということ。