万能ツールも使いよう

海外ドラマか何かの宣伝で、主人公が「アラフォー目前の女性」という紹介があった。
深読みはいろいろできるけど、たぶん、単なる勢いだと思う。


なんとなく言いたい事は伝わるので、あんまり突っ込むのも野暮というものだろう。


「不正確だけど伝わる」のと、「正確だけど伝わらない」のとではどちらがいいのか。
言葉は伝えるための道具である、と考えるなら、伝わる方が上だ。


その一方で、不正確(曖昧)な表現だと「間違って伝わる」可能性があるから危険でもある。
冒頭の例なら、ドラマ上の設定は多分 38歳か 39歳ぐらいだろうが、人によっては 34歳あたりかと思う人もいるかもしれない(どちらが正解かはわからない。蒲田屋の推測が外れているなら、それは「間違って伝わった」実例*1)。


とはいえ、正確なら常に伝わるかといえばそうでもない。
法律関係の学術書などを読むと、正確さに対して非常に気を遣った表現をしているが、結局何が言いたいのかわからない文章も多い。


言葉は表現の道具である、と考えるなら、どちらにも意味がある。
不正確だったり曖昧だったりする表現でも、受け手の感性や咀嚼力に任せるのも手法としてアリだし、誤解を避けるために水も漏らさぬ表現をとるのもアリだ。


もちろん、「不正確で伝わらない」とか「正確で伝わる」という言葉や文章も当然に存在するわけだが、前述の 2パターンと合わせて、どれが良くてどれが良くないとか、どれが上でどれが下、という分類にはそれほど意味はないように思える。
結局のところ、意識するかしないかは別として、執筆・発言者サイドがどのポリシーを選択するのか、というところにかかってくるのだと思うし、受け手側がどれに親和性があるかで効果や評価は変わる。
もう少し言うと、そもそも「伝えようとしている」のかどうかという前提も関わってくる。


それで、何が言いたいのかというと、実は何も考えずに書き始めて勢いだけでここまで来たので、まったく他人の事は言えないのだが、まとまっていない。
どちらかというと、これも伝えるための文章ではないような気がする。
思ってることをそのまま書いてるだけ。


そんなわけで、特に結論もオチもないのだが、日々あれこれの文章を読んでいて、発言を聞いていて、なんとなーく思っていた事を書いてみた。
ただ、現状でどれかを優先させなければならないとしたら、個人的には「伝わる事」を大事にしたいと思う。


普段のブログがそういう方向性じゃないあたりがまったく説得力ないけど。

*1:現在、世間的にアラウンド40 の定義は 35〜44歳とすることが多いようだが、流行した当時からそうだったかというのは個人的に疑問。当初は「40歳前後」のニュアンスで、40歳を中心とした前後 1〜2歳ぐらいの範囲を曖昧に指していたような気がする。そもそも、せっかくの新しい年代区分だというのに、ここでまた 10歳単位で年代を区切ってしまっては、30代、40代という従来の区分を半分ずらしただけの単純な分類になってしまってあまり意味がないのではないだろうか。と思う一方、そのずらし方が世代ごとの特徴をうまく分類できているという可能性もあるので捨てきる事もできない。おそらくはマーケティング的な分類と、文化的な分類とでは着眼点が異なるために、定義やニュアンスも異なるというあたりが妥当な理解ではないかと思うが、結局は「定義が曖昧な語」の話だ、ということを確認しただけなので、わざわざ注記しなくてもよかったような気もするが、この際なのでそのままにした。