ありがたや

先日、右膝の診察のために病院へ行ったときのこと。
待合室で待っていたら視界の端にド派手な色のかたまりが入ってきた。
何事かと思いつつ、あくまでもさりげなく視線を移すと、全身オレンジと黄色の布をまとった人物が。


……ダライ・ラマ


さすがにそんな VIP が、このご時世に一人でふらっと日本の整形外科に現れるはずもなく、どうやらチベット仏教かどうかはわからないが、日本で活動するそっち方面の僧であるようだ。
蒲田屋の斜め前に座ったので、特に意識しなくても姿が見え、顔を見る限り日本人に見える。
僧らしく、というわけでもないが、普通に落ち着いて座っているだけなのだが、服装の珍しさもあって存在感は十分。


ただそこにいるだけで待合室が明るくなったような気がするのは、徳を積んだ僧からあふれるオーラのせいでも、剃ってないけど年相応の頭部の輝きのせいでもなく、単純に明るい色の布が光を反射しまくって実際に増光しているからだと思う。


その後、リハビリ室に呼ばれて行くと、そこにもまたオレンジの人が。
ああ、こっちの人が患者なのね。
見た目、日本人ではなく浅黒いアジア人。
たぶん、待合室にいた日本人が付き添いなんだろう。


外国人だからというわけでもないだろうが、体格が日本人よりもかなり大きい。
その分、着ている僧衣の面積も大きく、まぶしさも増量。
そういや、日本の仏教僧侶も正装の袈裟は光るし、やっぱりそういうのって必要なのかもね。


とかなんとか考えていたら、彼は先に治療を終えて部屋を出て行った。
室内が一気に落ち着きを取り戻した雰囲気になったのがまた微笑ましい。
わかってても気になるよね、あれは。


で、蒲田屋も治療を終えて待合室に戻った。
当然だがオレンジの人が二人もいて、もう室温さえ上がったような明るさにひるんだ。
侮りがたし、僧侶の存在感。
なんつーかもう、確かに敬いたくもなる。


たまに町に出るといろんなネタに遭遇するものだ。