Clean It Up

最近、と言っても数週間は前の話だが、近所の歩道橋が撤去された。
普段あまり通る道ではなく、唯一、週 1回のテニススクールの帰り道だけに通るような場所なので、個人的に馴染みのあるものではなかった。
ちなみに、スクールへ行くときは違うルートを通るので、この歩道橋は目にしない。


この歩道橋、もともとそれほど広くない歩道内に建っていたので、階段の部分が歩道を大きく占拠していた。
そのせいで、歩道は人間一人分の幅しかなくなっていた。
実際、蒲田屋の体格だと、真正面を向いて歩くのがぎりぎりで、ちょっと圧迫感を感じるぐらい。
大きな荷物を持っているときは、体の前か後ろに手をやらないと荷物が壁に当たる。
そのまま対向する人とすれ違えるはずもなく、背中合わせになっても難しい場合もあり、どちらかが通り過ぎるまで待たないといけないほどだった。


ある日、その歩道橋に張り紙がしてあったので読んでみると、撤去して横断歩道を作ります、とのこと。
理由はよく覚えていないが、確か、危険性が強調されていたように思う。
確かに、子供とか自転車とか危なそうではある。ベビーカーなどは、大型のは通れないかもしれない。


それで、まあそうだよなぁ、危険性うんぬんもそうだけど普通に不便だしなここ、と納得していたら、2週間後ぐらいに通ったときにはきれいさっぱり消えていて仕事の早さに驚いた。


そのときは、工事早いなぁ、横断歩道にはいつなるのかなあ、ぐらいにしか思わなかったが、その後たまたま、いつもとは逆方向から歩道橋のあった方角を眺めたとき、ものすごい違和感に気付いた。
記憶にある景色とまったく違うのである。


空が広い。
道が広い。
建物が高い。
奥行きが広い。


一言で言えば、解放感。
たった一つ歩道橋がないだけでこんなに見え方が違うものかと驚いた。


逆に言えば、景観にこれだけのインパクトを与える存在なわけだ。
もちろん、歩道橋があった方がいいのか、ない方がいいのかは状況によるから一概には言えないが、視界を遮る物がない解放感にはすがすがしさを感じた。


今までそこに大きな存在感を持ってあった物が突然なくなったときの開けた感じ。
ここってこんなに広かったんだ、気がつかなかったなぁ、という感覚。
妙に新鮮な気分になって、少しだけ前向きになれる気持ち。
どこかで似たような経験があるような。


あ、大掃除だ。