4th. Impact

以前に前振りしといてそのままだった「そう、あたしたちはこんなにも理不尽な世界に生きているのだらよ(以下「だらよ」)」の 2周目がやっと終わったので、改めて感想を。


とはいえ、大体のことは前回の記事に書いちゃったような気がするし、簡潔にまとめてくれてるサイトもあるので、その辺を参考にしてもらった方がお手軽です。
例えば、こちらの感想など。
ほぼ全面的に、蒲田屋の感想と同じです。
ただし、この方の他のページには、(じっくり読み込みながら)2周目(以上)を終えた人間のみが理解できる鋭い考察(当然超ネタバレ)があるので、見てはいけません。


というわけで、以下は蒲田屋の個人的な感想。
例によって長々と書いてますので、興味のある方のみどうぞ。

        • -



まず結論から。
前回、60点をつけましたが、2周終えた今では、もうちょっと上げてもいいかな、という気分です。
ただし、非常にクセがあるゲームで、ほとんどのレビュアーが言うように、万人にお勧めできるゲームではないというのは変わりません。


言い方が微妙で、参考になるのかまったく自信がありませんが、ノベルゲームもしくは普通の小説が好きで、「MYST*1と「ひぐらしのなく頃に(以下「ひぐらし」)」*2の両方のゲームが許せる、最低でも経験者という方にならばお勧めしてもいいかもしれません。
単なる「ノベルゲーム好き」という人には勧めることに慎重にならざるを得ないですが、やめとけ、という意味ではありません。
ついでに言うと、80年代辺りのパソコンゲームの経験がある方ならば、懐かしい手強さを感じられるでしょう。
この辺、詳細は後述します。


個人的には、結構面白かったです。
文章も、パズル系の謎解きも。
そしてストーリーも。
自転車創業の過去作品も ANOSシステムによるもののようですが、「だらよ」のレビューで度々言われる「ANOSシステムの可能性」というものの片鱗(まだ進化の余地はあると思う)を味わえました。
同社の次回作が楽しみです。

        • -



次に、一番評価の分かれそうな謎解き部分について。


ある方のレビューで、「イジワル以上理不尽未満の絶妙な難易度」という言葉がありました。
言い得て妙です。
もちろんこれは褒め言葉です。
イジワルだから、それを跳ね返すのが快感なのです。


昨今の親切設計が基本のゲームとは少し趣が異なります。
もちろん、システムやユーザーインターフェイスが不親切なわけではなく*3、あまり考えなくても、つらつらと読んでいけば誰にでも謎が解けてしまうような仕組みではない、ということです。
まさに、プレイヤーが自分で考えて、適切な対処法を見出さないと簡単に詰まる 80年代のアドベンチャーゲームのイメージです。
この「詰まり」に燃えられれば手応えがあると感じ、萎えてしまえばつまらないゲーム*4です。


前回の記事にも書きましたし、上記の言葉にもあるように、謎は難しいけれども理不尽ではありません
ちゃんとヒントがあります。
多少、ヒントの入手方法が難しいかもしれませんが、そこは慣れです (^^;
その上で推理と試行錯誤を重ねれば、あぁなるほどね、と言えるはずです。


4Gamer の紹介記事で、

冒頭は易しいのにいきなり難易度が上がる点も笑って許せるならば,実に楽しめる作品となるであろう。

とありますが、すんません、蒲田屋は冒頭からハマりまくりました (^^;
しかし、冒頭はチュートリアル的な謎解きです。
ここで、今後必要になる「ヒントの見つけ方」がほとんど示されています。
個人的には、ここで散々悩んだ挙げ句に発見したヒントで、そう来やがったかちくしょうこのやろやられたぜ覚えてろよ、と燃えることができました。


ここでこれ以上のアドバイスを出すのは、どんなレベルであれ、初プレイ者の楽しみを奪う可能性があるのでやめておきます。
詰まったら、まずはマニュアルの「物語に詰まったら」を読みましょう。

        • -



続いて、これも賛否あるだろう文章について。


ゲームはほとんど登場人物の会話によって進行します。
時に軽妙、時に屁理屈、時に間抜けな対話とツッコミ合い。


全体的に割とクドめで理屈っぽいので、人によって好き嫌いが分かれると思います。
個人的には結構好きなんですが*5


とはいえ、結界に入る度にそれが繰り返されるのは正直ウザい面があります。
例えば、(何度も引き合いに出しますが)逆転裁判シリーズの探偵パートでは、いくつかの場所に何度も足を運ぶことになります。
初めて来た場所では、パートナーとあれやこれやと掛け合いをしますが、2度目以降は、それは繰り返さないのが普通です。
しかし、「だらよ」では、それが毎回繰り返されるので、短くない掛け合いを何度も読まされるのはちょっと疲れる、となるわけです。


もちろんそれは、いくつかの意味と必然性があるからだし、ノベルゲームお約束の読み飛ばしモード(ANOSモード)があるので飛ばせるわけですが、もうちょっと親切な仕様でもいいかな、と思う部分もあります。
それは、通常のノベルモード時において、コントローラーのボタン(キーボードのキー)押しっぱなしでメッセージの自動送りができなかったり、何もしなくてもメッセージが勝手に流れていくオートプレイができないことです。


そのため、場面によってはボタン連打が要求され、それがちょっと面倒に感じることもあります。
しかしこれは、恐らくわざとそういう仕様になっています。


もう 1つ、立ち絵や背景の一部が変わるときの間、というのも時々気になります。
画像の変化時は、パッと一瞬で変わらないで、WindowsXP のフェード効果っぽく、じわっと変わります。
とはいえ、そんなに大袈裟なものではないんですが、ボタン連打で早送りしたいときなどには、ちょっと引っかかったりして、じれったいときもあるのが残念です。


ちょっと話が逸れました。
とにかく、文章もちょっとクセがある、ということです。

        • -



最後に、ストーリーとシステムについて。


何も考えずにやれば、ほぼ全面的に試行錯誤のパズルゲームです。
その点で、「MYST」的なゲームが嫌いな人には向きません。
しかしその実、理屈っぽい文章にヒントが隠されていることも多く、文章を理論的に読み解くことが好きでないと面白くないという点で「ひぐらし」的*6であり、ただの「パズル好き」という人にも向きません。


レビューの中には、非常に高度なレベルでテキスト(文章)とパズルが融合した作品、という評価もありますが、それを理解するのには、当然ながら高度なレベルの感性が要求されます。
蒲田屋自身も、さすがにそこまで思い至りませんでした(少なくとも 1周目では)。
謎を抱えたストーリーの作品では基本かもしれませんが、2周目は絶対にやるべきです。
それも作業的にではなく、しっかりと文章を読み込んで。


システムの根幹である ANOS については、前回の記事にも書いたように、ノベルゲームやアドベンチャーゲームが抱える問題に対する解答の 1つだと思います。


ただ、ちょっと煩雑な面も否めないな、というのが正直なところ。
特に、同じ事柄に言及する記憶が複数ある場合に、どの記憶を使えばいいのかはっきりしないのは、ちょっとスッキリしませんでした。
もちろん、ANOSモードで簡単に試行錯誤できるので、それほどの手間でもないんですが、悩んでいるときには結構な負担を感じました。
とはいえ、これも ANOSものの楽しみの 1つということでしょう。


それから、これは明らかな欠点ですが、このゲーム、よく落ちます (^^;
多くのレビュアーが口を揃えて指摘するので、蒲田屋の環境だけの問題ではなさそうです。
セーブしてハマることはありませんので、こまめにセーブしましょう
また、不具合解消のパッチが出ています。
インストール後はパッチ適用もお忘れなく(パッチ適用しても、落ちるのは相変わらずです (^^;)。

        • -



ついでに、細かいことですが、公式にはゲームパッドの使用が一番便利ということで推奨されてます。
でも、この記事の冒頭でリンクを張ったサイトの方は「マウス+キーボードの方が遊びやすいと思う」と言ってます。
2周目にあたって、各操作方法を試してみましたが、ユーザーインターフェイスのクセに慣れてしまえば、どの方法でも大差ありませんので、この点は心配しなくてもいいと思います。


確かにゲームパッドが一番直感的で、すぐ覚えられます。好きなようにボタンカスタマイズできますし。
マウス+キーボードはゲームパッドと変わらない操作効率ですが、覚えるのにちょっと時間がかかるかもしれません。
キーボードオンリーの方が、人によってはしっくりくるかもしれません。ゲームパッドの操作方式のキーボード版です。
マウスオンリーの操作はやや操作効率が落ちます。試行錯誤のゲームなので、やや不向きです。


個人的には、ゲームパッドだと手の位置(姿勢)が固定されないので、肩が凝らなくていいかな、と思いました。
環境によっては、寝ころんででもできるし (^^;

        • -



以上、「だらよ」の蒲田屋的レビューなんだか推薦文なんだかプロモーションなんだかわからない感想文でした (^^;
長文レビューなのに、なぜか敬体なのは気まぐれです。

*1:パズルゲーム代表

*2:「読んで考えさせる」ノベルゲーム代表

*3:一部、不親切に思われる部分もあるかもしれないが、おそらくそれは意図的なもの。後述。

*4:詰まるのにつまらないとはこれ如何に。

*5:普段、自分が理屈っぽくてクドい文章を書くせいかもしれない。でも、読まされると、確かにちと疲れるなと思っちゃうのは我ながら勝手だと思う (^^;

*6:度々言うが、この手のゲームは、あらすじとトリックさえわかれば良いという「流し読み派」には面白くないと思う。